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2013年 09月 29日
Dear ポロウ
空の上でユキと走り回っていますか。
そちらは桜の花びらが舞っていますか。それとも一面の雪景色ですか。
あなたのいない夢見は少しさびしいです。
2013年8月7日、夢見ヶ崎動物公園のシベリアヘラジカ、ポロウが亡くなりました。
以下、川崎市のHPと報道発表資料からの引用です。
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シベリアヘラジカのポロウが亡くなりました 2013年8月10日
8月7日午後5時頃、当園で飼育していた国内最後の1頭であるメスのシベリアヘラジカのポロウが死亡しました。15歳と約2ヶ月でした。8月3日に足を滑らせて転んだあと、座るのを嫌がり、寝室にも戻らなくなったため、投薬を行いながら、好物の木の葉を食べさせたり、安心させるべく声をかけたりしながら見守ってきましたが、7日の午前中、久しぶりに寝室に自力で戻った後、立てなくなってしまい、夕方静かに息を引き取りました。
これまでポロウを見守ってきていただいた皆様、ありがとうございました。
平成25年8月8日報道発表資料
国内最後のヘラジカ「ポロウ」が亡くなりました。
夢見ヶ崎動物公園において、平成25 年8 月7 日(水)17 時にシベリアヘラジカの
「ポロウ」(平成10 年6 月10 日生まれ メス15才)が亡くなりました。
昨年春に妹の「ユキ」が亡くなり国内最後の1 頭として頑張って参りましたが、一年ほ
ど前から脚の外傷が完治せず、歩行がままなりませんでした。また、寄る年波と体力の衰え
には勝てず、さらに夏の厳しい暑さに耐えきれなかったようです。
もう、あの大きな体と優しい瞳に会えなくなると思うと、とても残念で悲しい思いが込み
上げてきます。
しばらくはヘラジカ舎が寂しくなりますが、皆様には大きな桜の下でのんびり過ごしてい
た頃を思い起こしていただければ幸いです。
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私が最後にポロウに会ったのは8月3日の午前中でした。
ポロウは水飲み場の近くに立っていました。
私がいた間は、来園者からも、隣のカメ舎からも近いところにいました。
空を見上げたり

うつむいたり

この日は夢見ヶ崎公園でお祭りをしていたので、ポロウもいつもと違う人の流れを目で追い、掛け声や賑やかな笑い声を聞いていたようでした。



ポロウの運動場は熊野神社の前にあり、この日はお祭りのため熊野神社にも提灯や旗が掲げられていました。ポロウの周りは賑やかでした。

ポロウの前をお神輿が通りました。

お神輿が通るのを見つめるポロウ。



それから、この日は隣のカメ舎を見ていることが多かったように思います。



ポロウに呼ばれたかのように、ポロウのほうにえっさほいさと歩いていくアルダブラゾウガメ、ナンバーファイブ。

今思えばですが、ポロウは、“相棒”とまで言われたアルダブラゾウガメのナンバーファイブに、何か言っておきたいことがあったのかもしれません。

ポロウからのメッセージ、しっかり聞きましたよ と言わんばかりのナンバーファイブ。

この日のポロウは、私から見ると、7月に会った時よりも元気そうに見えていました。
でもそれは、朝ナイトルームから出るときに転倒したため、少し気持ちが高ぶっていたのかもしれないと、今では思います。
飼育員さん曰く、転倒後しばらくはそれほど辛そうではなかったけど、日を追うごとに徐々に弱っていったとのことでした。座ったら二度と立てなくなるということをポロウ自身がわかっていたのだろうともおっしゃっていました。
この日私はポロウに、もうすぐ○○さんが会いに来てくれるからね、△△さんと□□さんも今年中に会いに来てくれるよ、頑張ろうね と声をかけました。
でも、皆さんに会いに来てもらう前にポロウは天国に行きました。
ポロウは、北は北海道から南は九州まで、本当に全国の方々から応援のメッセージをいただいていました。
皆さんの温かい応援メッセージに私もポロウと一緒に励まされていました。
応援してくださる皆さんのメッセージをポロウに伝えるために、そして応援してくださる皆さんにポロウの様子を伝えるために、そんな思いもあって、夢見に、ポロウのもとに足を運んだ日々でした。
ポロウが亡くなったことを知った皆さんの衝撃と辛いお気持ちは、計り知れないものがありました。
生前にポロウに会うことが叶わなかった友人は、遠方からポロウに花を手向けに夢見を訪れてくれました。
ポロウがこんなにも愛されていたことを知った園の方々はとても喜ばれたと思います。
私は9月に入ってようやく、ポロウのアルバムを手に、ポロウと飼育員さんにお礼を伝えに行くことができました。

写真に添えられていたメッセージです。
「国内最後のヘラジカとして頑張っていました。
おっとりした性格で、やさしい瞳が魅力の美人でした。
長い間、皆様に可愛がって頂きありがとうございました。」
担当の飼育員さんが、ポロウのことをいろいろ話してくださいました。
飼育員さんとポロウがハグをしている姿が好きだったことをお伝えすると、見られているとは知らなかったと照れていらっしゃいました。
ポロウは2度の出産(残念ながら死産)で飼育員さんが介助をされたこともあり、飼育員さんととても強い絆で結ばれていたそうです。
人が好きで、人の動きをよく目で追っていたそうです。
もう十分に長生きしていたのに、あと1年2年は生きてくれるんじゃないかという期待があった、でも実際は脚を痛めて1年以上経っていたし、よく頑張ってくれたとおっしゃていました。
ポロウが部屋に戻らなった最後の3日間に、生まれて初めてヘラジカを見たというお客さんがたくさんいたことも教えてくださいました。
そして、「ポロウは最期の最後まで、優等生で良い子でした」とおっしゃっていました。
ポロウのことを本当に本当に深く愛し、大事にされていたことを、強く感じました。
ポロウはきっと幸せだった、そう思えます。
旅立つ時も、きっと愛で満たされていたと思います。
ポロウという大きな存在が亡くなり、寂しいですが、夢見にはポロウを愛した飼育員さんや獣医さんの思いがしっかりと生きていて、今いる動物たちにその思いや愛が注がれていくのだと思います。
動物園の動物でもペットでも、その多くの動物が人間より寿命が短く、別れがきてしまいます。
でも、別れたらそれで終わりではなく、その動物が生きた中で、その動物と共に過ごした時間、注がれた愛情、努力、試行錯誤、そのすべてが、かかわった人々やそれを見守ってきた人々の中にしっかり刻みこまれ、未来へ連綿と続いていくのだと思います。
ねぇ、可愛いアズキ。

ナンバーファイブ。相棒が天国に行って寂しいけど、あなたはあと100年、みんなから愛されるんだよ!

いつか、ポロウのルーツを訪ねに、帯広動物園にも行ってみたいと思っています。
ポロウを愛してくれた皆さん、ありがとうございました。
Dear ポロウ
あなたに出会って数年間、あなたに会いに夢見に足を運んだ日々、本当に幸せでした。
本当に本当にありがとう。

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by chappo10
| 2013-09-29 17:11
| 川崎市夢見ヶ崎動物公園
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