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SAGA13 1日目 シンポジウム1

2011年11月13日(土)

SAGA13の1日目は麻布大学で開催されました。

SAGA13プログラムを見ていただくとわかりますが、
学長挨拶
増井光子先生追悼
の後、お二方の研究者による発表、お昼をはさんで、もうお一方の発表がありました。
詳しい発表内容については、後日SAGAのHPで「要旨集」が公開されると思うので、ここでは素人の私の目線で強く印象に残ったことだけを書き残したいと思います。


<シンポジウム1>
最初の発表(シンポジウム1)は、岡山県玉野市の出崎半島に位置する林原類人猿研究センター(通称GARI)から平田聡さんによる「大型類人猿とは何か」

まず最初におっしゃったことが、ヒトとヒト以外の類人猿は同じ線上にある仲間の生き物であるということ。ヒトがチンパンジーやゴリラから進化したのではなく、同じ祖先を持って同じ線上で分岐した仲間であるということでした。
そして、チンパンジー、ボノボ、ゴリラ、オランウータンのそれぞれの生態について簡単な説明があり、下記の発表が始まりました。

発表内容は大きく分けて2つ。
①研究からわかったチンパンジーの生態
②コンゴ民主共和国ワンバ村でのボノボの保護活動

①では、チンパンジーの自己認識について、チンパンジーの頭に小さなシールを数枚貼って、チンパンジーが鏡を見て自分でそのシールをはがすという実験を映像で紹介されました。
鏡を見てそこに映っているのが自分であると認識できる、つまり自己認識ができるかどうか。類人猿(ape)にはできるがサル(monkey)にはできないそうです。
こうして文字で「実験」と書くと、なんだか冷たいような印象がありますが、実際に映像で見てみると、とても楽しく笑ってしまうようなほのぼのとした環境で行われています。平田さんの言葉の端々からも感じられるし、映像でもよくわかりましたが、研究センターに暮らすチンパンジーたちに対して、センターの方たちは本当の家族のように大切に大切に接していらっしゃいます。
(チンパンジー研究者の方たちの間では当たり前のことかもしれませんが、「~匹」「~頭」ではなく、「~人」とおっしゃっていました。難しい話をしている中、途中で「うちの●●ちゃん」とチンパンジーを紹介されるので、私はいちいちそこに皆さんの深い愛情を感じて嬉しくなってしまいました。)
もうひとつ、私が印象に残ったのは「協力」という行動をチンパンジーはとることができるのかという実験。二人で協力しないと動かせない重い石の下に食べ物があるというシチュエーションです。チンパンジーが人間を「協力」に誘い、見事食べ物を食べられた後、嬉しくなって、一緒に石を動かしてくれた人に抱きついていたのがとても可愛かったです^^  可愛いということを見せるのが目的の映像ではなかったのですが、やっぱり可愛かったです。
他に、チンパンジーの子育てについてのお話もありました。チンパンジーは子育てをするために、それまでの学習や適切な経験が必要であるため、飼育下でそれが難しいが故に育児拒否が起こりうる、その割合は50%。人工保育後の群れ入りの難しさを、実際にセンターで現在進行中の群れ入りの試みを通して発表されました。詳しくは「ちんぱんじーのえにっき」で紹介されています。チンパンジーを群れで飼育することの重要性を強く感じました。

②では、平田さんがワンバ村でボノボの現地調査・保護活動をされた時の話でした。
内戦や自然破壊でボノボの数が減少しているコンゴ民主共和国。現地で行われているボノボの保護活動の状況を、映像を交えて紹介されました。実際に起きたボノボをめぐる悲惨な事件も紹介されました。ボノボを守るためにはワンバ村で暮らす現地の人々をサポートし理解を得ることが大切だと。
最後に、「これは日本から遠く離れた国で起こっていることで、日本に住む私たちには関係ないと思われるかもしれません。でも、地球上に住む人間が皆、日本人と同じ暮らしをしたら、地球が2.3個分必要と言われています。そのことを考えると、ワンバ村で起こっていることは決して他人事ではないのです。」という趣旨の言葉を述べられました。これはとても重い言葉だと感じました。

ここまでで結構長くなってしまったので、シンポジウム2と3は次の記事で書きたいと思います。
2と3は短くなると思います。なぜなら、発表が英語だったので、理解できた割合がかなり少ないから・・・・・・。

文章だけでは寂しいので最後に写真を1枚だけ。
SAGA13の2日目が開催されたズーラシアで撮影した写真です。

SAGA13 1日目 シンポジウム1_d0190294_115348.jpg

アカカワイノシシです。
今回の話と全く関係ないと思われるかもしれませんが、実はチンパンジーと同じアフリカが故郷の動物です。
ズーラシアでは展示が生息地ごとに分かれていてとてもわかりやすくなっています。
このアカカワイノシシは、「アフリカの熱帯雨林」エリアで、チンパンジーの森のお隣にいます。今は赤ちゃんもいて、来園者から大人気です。
是非みなさんもズーラシアでアフリカの熱帯雨林を体験してみてください♪
by chappo10 | 2010-11-21 01:20 | イベント